なぜか推しが追ってくる。
「私と付き合ってみない? 瑞紀への気持ちを消すために利用させてあげるよ」
「真緒? お前、何言って……」
「言っとくけど私そこそこ可愛い方だよ? そりゃあ瑞紀には遠く及ばないけど、彼女にしたら他の男どもに羨ましがられると思うな」
違う。こういうこと言いたいんじゃない。
これじゃあ、その場の思いつきからノリで言っているみたいだ。
案の定、カズも苦笑いしている。
「真緒、励まそうとしてくれてんのは十分わかったから……」
「違うの!」
思わず大きな声で遮った。
違う。違うんだよ。
上手く言えないのが悔しくて、目に涙がたまってくる。
「……中学のときさ、私がそもそも瑞紀に近づいたきっかけは何だったと思う?」
「え? さあ、知らねえ、けど……」
「カズが瑞紀と同じ委員会に入って、仲良くなるのが気に入らなかったからだよ。あんたが瑞紀にデレデレしてたから、邪魔してやろうと思ったの!」
小学校が違った瑞紀とは、中学二年のときに初めて同じクラスになった。