なぜか推しが追ってくる。
それでも、私にとっては隠しておきたかった大きな秘密。
私は、憧れの先輩の真似をして、明るく人懐っこい人間みたいに振る舞っている。
だけど本当は、ただの性格の悪い打算的な人間なのだ。
「瑞紀が天羽恭のこと好きだってはっきり言ってくれて……カズが失恋して、本当は安心してる。形だけでもカズのこと応援したらそのうち気持ちが消えるかもとか思ってたけど、全然だめだったのっ!」
「真緒……」
カズの言葉が怖くてぎゅっと目を瞑る。
あーあ。
勇気を出して昔のことを話してくれた瑞紀に触発されて、全部言っちゃったな。
「お前それ、……オレのこと、幼なじみとか友達としてじゃなくて、男として好きだって言ってるように聞こえんだけど」
「だからさっきからそう言ってるじゃん馬鹿!!」
「だ、だよな……。いや、予想外すぎて……」
本当に全く気付かれてなかったんだな。
なんか……悔しい。
「っ!」
私はぐいっとカズの腕を引っ張った。
カズは結構背が高い。私が小柄だから余計に身長差がある。
だからこうして屈ませて。