なぜか推しが追ってくる。
頬っぺたにキスをした。
「なっ! 真緒!?」
「ただの幼なじみはこんなことしないと思うけど!」
カズの顔がみるみるうちに真っ赤になっていく。
そうだよこれだよ。私はカズにこういう顔をさせたかったんだ、ずっと。
「ランドセル背負って一緒に登校してたときから、私にとってカズは特別な男の子だったんだよ?」
「あ、ああ……」
「さすがにもう、本気なんだってわかったでしょ?」
いひひ……と笑えば、カズはこの空気に耐えかねたように目をそらした。
それからボソッと言う。
「さすがにこのタイミングでお前と付き合うってのは……すぐには考えられねえけど……」
「うん」
「ちゃんと、茶化さず本気で向き合うって、約束する……ってことでいいか?」
「へへ、わかった。それでいーよ!」
こんなに長いこと、意識されずにいたんだ。
それを思えば、カズが気持ちを整理する時間なんてほんの一瞬だ。