なぜか推しが追ってくる。
「……ま、本当のこと言えば、ここであっさり私と付き合うとか言いだしたら今の告白は取り消すつもりだったけどね!」
「は?」
「だってそうじゃん。私が好きなのは、どれだけ相手にされなくても一途に瑞紀を想ってるようなカズであって、付き合えそうならさっさと他の女に乗り換えるような軽い男じゃないもん」
「……お前、面倒くさいな」
おっしゃる通り。
実は私、性格悪くて子どもっぽくて面倒くさい。
でも……。
「それが高森真緒だって知ってるでしょ、幼なじみの清水数馬くん」
「ああ。めちゃくちゃよく知ってるよ」
満足のいく答えに、私はにこりと満面の笑みを浮かべる。
日が傾きかけて長くなった影を眺めながら、私たちはまた家の方へ歩き始めた。