なぜか推しが追ってくる。

絶対に、後悔する





原さんを探し始めて五部屋目ぐらいで、わたしはもう当たりを引いた。


控室や原さんの楽屋からはちょっと離れた廊下の先の部屋。

明かりもつけず薄暗い部屋の隅で、彼女は体育座りをして小さくなっていた。




「見つけた」


「……何よその目は。どっか行ってよ。というか天羽くんの友達ってだけの部外者がどうしてここにいるのよ。通報するわよ?」




言葉にこそ棘があるけれど、その声は弱々しい。




「一応、許可はもらってますから」


「あっそ。……それより、何であなたは見つけられたの? あたしを探してるっぽいスタッフやあたしのマネージャーが何人かこの部屋来たけど、皆軽く確認するだけして、あたしを見つける前に行っちゃったのに」




原さんが座り込んでいる場所は、部屋の隅である上に、周りに長机や椅子など色々と置いてあり、部屋の入り口から確認するだけでは人がいることに気づかないような場所だ。


だけどわたしは、この部屋に来るまでに入った部屋でも、こういう物影を中心に確認していた。




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