なぜか推しが追ってくる。
色々といっぱいいっぱいで、もう意識がとんでしまいそうだ。
キスは前にもしたし、こうやって抱きしめられるのももう何回目だろうという感じ。
でも、そんなの簡単に慣れられるはずもなく。
「ままま待って、今はほんとあれがあれだからそれで……い、嫌だとかそういうのじゃないし推しの望みは力の及ぶ範囲で叶えようと決めてはいるんですけどえっと……」
何言ってんだこいつ。自分でもわからん。
だけど、それでも受け止めようとしてくれるのがわたしの推しだ。
「そっか残念。じゃあ瑞紀ちゃんの気持ちに余裕ができるまではこれで我慢しとくよ」
恭くんはそう言って、触れるか触れないかという程度に軽く、わたしのおでこに口づけた。
恋人同士になったのだという意識も手伝ってか、たったそれだけのことでも、触れた場所がジンジンと熱くてたまらない気がした。