なぜか推しが追ってくる。
実はそれ、なかなか難しい条件だった。
見た目に自信があって目立つのが得意な子は、既に先輩にスカウトされてエントリー済みなのだ。
だからしばらく頭を悩ませていたわたしだったけど、突如ひとつのアイディアが浮かんだ。
「あ、この子とかどうです?」
わたしはスマホの画像ファイルを開いて一枚の写真を先輩に見せる。
「え……確かにすごく可愛い子だけど、うちの学校にこんな子いた? いたら私が見逃すはずないと思うけど」
「いますよ、先輩の目の前に」
その言葉で、わたしの隣にいた恭くんがびくりと肩を震わせた。
「瑞紀ちゃん……俺、今すごく嫌な予感がしたんだけど……その写真ちょっと見せて」
「はい!」
わたしのスマホの画面には──
ちょっと恥じらいを隠しきれていない、番組の罰ゲームで女装をさせられた恭くんの画像があった。