なぜか推しが追ってくる。




「エントリーナンバー15番! 当日飛び込み参加枠から、天羽恭子(きょうこ)さん!!」




いや、まさか本当に認められるとは思わなかった。言ってみるもんだな。


わたしが見せた可愛すぎる女の子の画像が恭くんであると知った先輩は「待って、それ絶対盛り上がるわ! ナイス武藤さん!!」と大喜びした。


もちろん恭くんは嫌がった。

女装用の衣装が無いことを理由に断ろうとしていたけど、わたしが何部なのか忘れてもらっては困る。

演劇部の部室は衣装の宝庫だ。ウィッグ他諸々たくさん取り揃えている。


自分が出演すると考えたら時間の無駄でしかないと思ったミスコンだけど、推しを見る時間になるならこれほど有意義なことはない。

恭くんを楽しませることに特化すると決めていたはずだけど、その決意はとりあえず忘れることにした。認めようこれはもうただの私欲です、はい。



「あ、天羽恭子……?」



司会者が読み上げた名前に、会場がざわっとした。

それと同時に、ステージ上に絶世の美少女が姿を現した。




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