なぜか推しが追ってくる。




「……どうしよう、恭くんからのファンサがとまらない」




放課後。長い一日がようやく終わった。


あの後も、恭くんは何度も何度もわたしに話しかけてきた。

転校初日でわからないことだらけだから、とりあえず隣の席の奴を頼ろうという心理はわかる。


わかるけど、話しかけるたびに「武藤さんが隣の席で良かった」とか「本当に頼りになるね」とか「武藤さんがいてくれたら明日からも学校頑張れる気がするな」とか! ファンを喜ばせる言葉をいちいち言う必要はあったのでしょうか。


おかげでこっちはドキドキギュンギュンさせられっぱなしで、いつ心不全で倒れるかひやひやしてしまった。

それに、あと一歩間違えたらスマホの録音アプリ起動してた。危なかった。



興奮冷めやらぬまま、そんなことを語りつくしたわたしに、聞いていた数馬は冷たく言った。




「ファンサービスっつうか、完全に遊ばれてんじゃね?」




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