なぜか推しが追ってくる。
うぐっ……待ってわたし、恭くんに仲良し認定されてる!?
恭くんには別世界にいて欲しいというわたしの思いとは裏腹に、神は地面に足を付けて下民へ手を伸ばしている。
……ていうかそれよりも。
数馬、やっぱり恭くんに対してすごく攻撃的だよなあ。
ただ興味がないだけならこんな言い方する必要はないはず。親友がわたしの大好きな人のことを嫌っているのは……だいぶ悲しい。
わたしは少し考えてから、ぽんっと数馬の肩をたたいた。
「わかった。じゃあ、学校案内任せたよ数馬」
「え……」
二人でゆっくり話したら、仲良くなるかもしれないもんね。
仲良くなってしまえば、数馬から恭くんへの攻撃的な言葉を聞かなくて済むようになる。
それに、恭くんにたくさん友達ができれば、わたしに絡んでくることが少なくなって距離をとりやすくなるかもしれない。
まさに一石二鳥だ。
わたしは素早く荷物をまとめ、ちょっと気まずそうな空気の流れる二人を置いて、急いで教室から逃げ出した。