なぜか推しが追ってくる。
それでも恭くんは何かを感じ取ったのか、ふふっと笑って言った。
「だから武藤さんがそんな俺を見ててくれたの、武藤さんが想像してる以上に喜んでるんだよ」
「っ~~!!!」
ああだめだ。頭の切り替えが間に合わない。
今のわたし、「クラスメイトの天羽くん」じゃなくて「推しの恭くん」として隣の彼を見てしまっている。
「からかわないで……」
どうにかこうにかそう言うと、話を切り上げて口を閉ざす。
──ごめんなさい。やっぱり隣に恭くんがいる環境、慣れることはできてません。