なぜか推しが追ってくる。

恭くんの素晴らしさを語り合える同志は歓迎です





「今日も今日とて、天羽恭人気はすごいねぇ」


「ただでさえ狭い食堂がさらに狭いな」




真緒と数馬が同じ方向を見て、それぞれ感想を口にした。


昼休み、大抵わたしは真緒数馬のいつメンと学食でお昼ごはんを食べる。

そしてこの日、いつもはどこかの店で買ったらしいお弁当を持参している恭くんも、珍しく学食に来ていたのだ。

恭くんの周りには、あわよくばお近づきになろうとしているクラスも学年も様々な女子たちがこれでもかというほど群がっていた。




「瑞紀はあそこの仲間入りしなくていいの?」


「わたしはクラスメイトにキャーキャー言う趣味はないからね。推しはここから落ち着いて見るに限るでしょ」




わたしが見ているのは人混みの中心部じゃなくて、スマホの画面。

昨日地方番組にちょこっと出演していた恭くん。もう何度目になるかわからないけど、見放題サイトでまた再生ボタンを押す。




「はああああ。顔がいいなあ本当にもう。うんうん、トークも頑張ってる……」




一生懸命話すけれど拾ってもらえなくて、それでもニコニコしているところとか可愛い。好き。




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