なぜか推しが追ってくる。




「一つ聞くけど、色々なドラマやバラエティー番組に引っ張りだこで、国民誰もが知る16歳前後の人気俳優答えられる?」


「え? えっと」


「もちろん例外もたくさんあるけど、お茶の間に定着してる俳優の多くは二十代以上だと思うの。十代はまだまだ下積み期間だし、演じられる役がどうしても制限されちゃうから」


「あ、ああ……」


「だから、今の時点で恭くんのことを無名扱いするのは気が早いし視野が狭い。わたしの予想では、あと二、三年で人気俳優の枠に収まってると思うけど」




男子たちは、戸惑ったように顔を見合わせる。

あんまり響いてないな……と思い、次の言葉を探していたときだった。




「ま、天羽のことが気に入らないのはわからないでもないが、わざわざ騒ぎ立てて女子たちへの印象悪くしようってのはだいぶダサいよな」




まるで独り言のようにそう言ったのは数馬だった。

男子たちの表情に気まずそうな色が浮かぶ。こちらは同性の言葉だけに響くものがあったらしい。




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