なぜか推しが追ってくる。
というより、わたしの言葉はちょっとズレていたのかもしれないと気付いた。
彼らは恭くんが「売れてないのに芸能人ぶってる」からではなく、「可愛い子たちにチヤホヤされている」から気に食わなかったのだ。
とにかく、数馬が口を挟んでくれたおかげで食堂内は何となく静かになった。
誰かが食器を持って立ち上がると、一人、また一人とこそこそ立ち去っていく。
わたしはふうっと息を吐いて、また腰を下ろす。そして数馬を見た。
「数馬が味方してくれるとはね」
「は?」
「数馬も恭くんのこと嫌ってるっぽかったから」
「……オレもちょっと反省したんだよ。話してみたら、まあ、普通に良い奴だったし」
「話した?」
教室内で恭くんと数馬が話しているところなんて見たことがない。
わたしが首をかしげると、数馬は眉を苛立ったようにひくつかせた。
「前、学校案内オレに任せて走って帰ったのはどこの誰だ」
「あ」
「それなりに気まずかったからな。それに、良い奴って言っても仲良くする気はねえし。……あいつはライバルだ」
「ライバル?」