なぜか推しが追ってくる。
いかにも興味ナシという感じの数馬。
わたしはキラリと目を光らせて、恭くん特集のページを数馬の目の前に突きつけた。
「ネクストブレイク確実と言っても過言ではない、実力派イケメン若手俳優・天羽恭! 歳はわたしたちと同じ十六歳の高校一年生。五歳で子役としてデビューするも、当時はそこまで注目されてなくてね。注目が集まったのは二年前公開した人気少年漫画原作の映画で主人公の弟を演じてからなんだけど、それがもう本当にかっこよくて可愛くて……」
「あ、もういい。わかった」
まだまだ恭くんの魅力を十分の一も伝えられてないのに、数馬は苦笑いしながら後ずさった。
恭くんの素晴らしさは全人類知るべきだと思うんだけど、布教するにはわたしじゃあ力不足っぽい感じが……。
「あはは。瑞紀ぃ、カズは瑞紀が天羽恭に夢中なのが面白くないだけよ」
「え?」
「よーし、じゃああたしが可哀想なカズくんのことを喜ばせてあげよう!」
そう言った真緒は「よっこいしょ」と机を下ろすと、にやにや笑いを浮かべる。