なぜか推しが追ってくる。



だめだ。わたしには恭くんの考えていることがわからん……。


いや、そういうミステリアスな部分も非常に魅力的ですけども。推せる。



あ、違う待って。

推しの恭くんとクラスメイトの天羽くんは分けて考えなきゃダメなんだってば。最近混同しがちだぞ、落ち着けわたし。




「ねえ、──……っていい?」




そんなことをごちゃごちゃ考えていたせいで、わたしは恭くんから何か言われたのに完全に聞き逃してしていた。

普通に聞き返せば良かったものを、大したことじゃないだろうと思い、とりあえず「うん」とうなずく。


すると、なぜか恭くんは次々と質問を重ねてきた。





「瑞紀ちゃんはいつもどこの映画館行くの?」


「駅近くのショッピングセンターの……」


「ああ、そこ行ったことないや。明日の映画は何時からの回? 午前中?」


「10:30からの回のつもりだけど」


「了解。じゃあ10時に駅集合でどう?」




……?


ようやく、自分の知らないところで勝手に話が進んでいることに気が付いた。




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