なぜか推しが追ってくる。
▽
「ほ、本当にいる……」
土曜日。
約束の時間十五分前に駅前に到着したわたしは、顔を覆ってその場にしゃがみこみたくなった。
正直、ここに来るまで半信半疑だった。
恭くんは隣の席のオタクをちょっとからかっただけで、本当は来るつもりなんてないんじゃないか……と。
疑っていたというか、そうであってほしいとちょっと願っていた。
「あー……まじかぁ……」
どうしよう。心臓がバクバク鳴っている。
物陰にいるから、まだ恭くんはわたしが近くに来ていることに気付いていない。
しばらくここで気持ちを落ち着かせたいところだけど……ちょっとそうは言ってられない事情があった。
「っ」
わたしは意を決して恭くんの待つ場所まで全力で走る。そして彼の手首をガシリと掴んだ。
「ちょっとこっち来て!」
「……え、瑞紀ちゃん?」
驚いた顔をする彼を、そのまま人目につかない場所まで引っ張っていく。
そこで改めて恭くんの格好を見て、大きくため息をついた。
「~~っ! その伊達メガネで変装したつもりなの? 甘すぎ!」
「え……だめかな」
「オーラが全然隠せてない!」
「ほ、本当にいる……」
土曜日。
約束の時間十五分前に駅前に到着したわたしは、顔を覆ってその場にしゃがみこみたくなった。
正直、ここに来るまで半信半疑だった。
恭くんは隣の席のオタクをちょっとからかっただけで、本当は来るつもりなんてないんじゃないか……と。
疑っていたというか、そうであってほしいとちょっと願っていた。
「あー……まじかぁ……」
どうしよう。心臓がバクバク鳴っている。
物陰にいるから、まだ恭くんはわたしが近くに来ていることに気付いていない。
しばらくここで気持ちを落ち着かせたいところだけど……ちょっとそうは言ってられない事情があった。
「っ」
わたしは意を決して恭くんの待つ場所まで全力で走る。そして彼の手首をガシリと掴んだ。
「ちょっとこっち来て!」
「……え、瑞紀ちゃん?」
驚いた顔をする彼を、そのまま人目につかない場所まで引っ張っていく。
そこで改めて恭くんの格好を見て、大きくため息をついた。
「~~っ! その伊達メガネで変装したつもりなの? 甘すぎ!」
「え……だめかな」
「オーラが全然隠せてない!」