なぜか推しが追ってくる。

推しとデートをすることになってしまった件





「天羽くん、ポップコーン買う?」




無事にマスクと帽子を調達した後。

ちょっと怪しい感じになってしまったけど、溢れ出るオーラをかなり抑えることに成功した恭くん。わたしたちはようやくショッピングセンター内の映画館にやってきた。




「うん、買う買う。あ、そうだ、せっかくだから大きいサイズ買ってシェアしようよ」


「……」




無邪気にそんなことを言われたので、ちょっと想像してみる。

暗い館内で、スクリーンの方を見ながら手探りで同じポップコーンを食べる。

意図せず手が触れて「あっ、ごめん」ってなってちょっと照れくさく……。


……だめだ。それカップルがやるやつだ。




「いや、小さいのそれぞれ買おう」


「そう? Lサイズ買った方がお買い得じゃない?」


「わたしは天羽くんと違う味食べるから!」


「別に瑞紀ちゃんが食べたい味で良いけど……」


「天羽くんが塩味選んだらわたしはキャラメル味が食べたくなるし、天羽くんがキャラメル味を選んだらわたしはバター醬油がよくなるの!」




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