なぜか推しが追ってくる。
続けられた真緒の質問。なぜか巻き込まれてしまった数馬が、可哀想なぐらい真っ赤になっている。
わたしは消去法で「それなら数馬かな……」と答えかけたけれど、思いとどまった。
「いや、でも数馬と付き合うっていうのもないかな。友達だもん」
「っ……そ、そりゃ当然だよな! オレだって瑞紀はダチだからそんな目で見てない!」
「あ、えっと……なんかごめんねカズ」
「……なんで謝るんだよ真緒」
よくわからないけど、これで質問は終わりらしい。真緒はいったい何を知りたかったのだろう。
そんなことを思いながら、わたしはその彼女が教室に運び入れてきた机に目を止める。
「ねえ真緒、そういえばその机は?」
「ああ。なんか明日うちのクラスに転校生が来るらしくてその人のみたいだよ。先生、あたし見つけるなり『倉庫から机と椅子セットで教室に運んでくれ。高森なら余裕だろ』とか言っちゃってさ。隣にカズという男子がいるのに何故あたしに頼むのよまったく」
「数馬が貧弱だからじゃない?」
「それだ」
「いやぜってー違うだろ! どう考えても真緒が馬鹿力だからだろ!」