なぜか推しが追ってくる。





「はあ~。遊んだ遊んだ」




やりたかったゲームをほぼ一通りやった後。

自動販売機で買ったミネラルウォーターを飲みながら、真緒は満足そうに言った。




「ふふん、カズはどのゲームでも私たちに敵わなかったね」


「ホッケーは2対1だったし、シューティングはお前ら勝手に二人の合計点にしただろ! フェアじゃねえ! こんな勝負無効だ無効!」


「数馬、往生際が悪いよ。諦めてわたしと真緒にアイス奢りなって」


「そんな約束してねえよな!?」




ちっ、騙されなかったか。


いつも通り、さして生産性のない会話をしながらわたしたちは帰路につく。

やっぱり、二人といるときが一番心が落ち着く。




「あ、ごめん二人とも。私ちょっとトイレ行きたいから待ってて」




駅に向かう途中。真緒がそう言ったので、わたしと数馬は近くの公園のベンチで待つことにした。


ベンチに座ってすぐ、数馬はちらりとわたしを見て言った。




「なあ武藤。……天羽恭と、何かあったのか?」






< 70 / 223 >

この作品をシェア

pagetop