なぜか推しが追ってくる。
「はあ~。遊んだ遊んだ」
やりたかったゲームをほぼ一通りやった後。
自動販売機で買ったミネラルウォーターを飲みながら、真緒は満足そうに言った。
「ふふん、カズはどのゲームでも私たちに敵わなかったね」
「ホッケーは2対1だったし、シューティングはお前ら勝手に二人の合計点にしただろ! フェアじゃねえ! こんな勝負無効だ無効!」
「数馬、往生際が悪いよ。諦めてわたしと真緒にアイス奢りなって」
「そんな約束してねえよな!?」
ちっ、騙されなかったか。
いつも通り、さして生産性のない会話をしながらわたしたちは帰路につく。
やっぱり、二人といるときが一番心が落ち着く。
「あ、ごめん二人とも。私ちょっとトイレ行きたいから待ってて」
駅に向かう途中。真緒がそう言ったので、わたしと数馬は近くの公園のベンチで待つことにした。
ベンチに座ってすぐ、数馬はちらりとわたしを見て言った。
「なあ武藤。……天羽恭と、何かあったのか?」