なぜか推しが追ってくる。
逃げないで、正面から見てよ
▼【天羽恭】
「調子悪そうだな」
車を運転するマネージャーの早坂さんが、バックミラー越しに俺を見て言った。
今日は朝から映画関係の取材や舞台の稽古が入っていたが、どこに行ってもミスを連発していた。
どうにも土曜日のことがちらついて仕方なかったのだ。プライベートとの切り替えができないのはプロ失格だ。
「すみません」
「まあ気に病みすぎるな。今日はゆっくり休めよ」
「はい……」
「だがどうせ、調子が悪かった原因は愛しのミズキちゃん絡みだろ。……ああ、デート失敗してフラれたか? ご愁傷様」
「……早坂さんにはもうちょっとデリカシーがあってもいいと思うんですけど。あとまだフラれてないし」
俺は大きくため息をついて外を眺める。
早坂さんは若くて有能な男だが、俺とは昔からの知り合いというせいもあり割と容赦ない部分がある。
「五歩ぐらい一気に進めたんじゃないかって期待した瞬間、実は二十歩下がってたって感じなんですよね、今」
「だいぶ下がったな」
「調子悪そうだな」
車を運転するマネージャーの早坂さんが、バックミラー越しに俺を見て言った。
今日は朝から映画関係の取材や舞台の稽古が入っていたが、どこに行ってもミスを連発していた。
どうにも土曜日のことがちらついて仕方なかったのだ。プライベートとの切り替えができないのはプロ失格だ。
「すみません」
「まあ気に病みすぎるな。今日はゆっくり休めよ」
「はい……」
「だがどうせ、調子が悪かった原因は愛しのミズキちゃん絡みだろ。……ああ、デート失敗してフラれたか? ご愁傷様」
「……早坂さんにはもうちょっとデリカシーがあってもいいと思うんですけど。あとまだフラれてないし」
俺は大きくため息をついて外を眺める。
早坂さんは若くて有能な男だが、俺とは昔からの知り合いというせいもあり割と容赦ない部分がある。
「五歩ぐらい一気に進めたんじゃないかって期待した瞬間、実は二十歩下がってたって感じなんですよね、今」
「だいぶ下がったな」