なぜか推しが追ってくる。
わたしはこっそりため息をついて、スマートフォンを取り出した。
そして画像ファイルの中の恭くん専用フォルダ(一応弁解しておくと、これらの画像は全て公式SNS等から保存したものだ。隣の席にいるからといって盗撮したりは断じてしていない)を開き、目の前の彼に突きつける。
「綺麗さも可愛さも、恭くんの方が100億倍上じゃない?」
「はい?」
「ねえ見てよこれこの恭くんの笑顔破壊力えぐくない? やばいよね、ねえ。で次こっち見て? こっちはもうまさに色気! 流し目! これ最初見たときまじでギュンギュンしたやばかった。さっきの写真と同一人物よこれすごくない??」
「あ、あの……」
「あ、じゃあ次このとっておきのやつ見せてあげる。じゃーん、見てこの美少女。これも恭くんなんだよ!? 配信番組の罰ゲームで女装してるの! もうそんじょそこらの女子より女子!」
「はあ……」
「わたしが男だったらこんな子見たら一瞬で落ちるね! あ、女でも落ちてるけどね! 女装恭くん見るたびに『わたしごときが女子名乗ってすみませんでしたああ!』って土下座したくなるよ本当あはは……あ、やばい涎が」