なぜか推しが追ってくる。
わたしは持ち場へ行く前に、恭くんの元まで戻って言う。
「わたし今日は背景用のパネル作る予定なんだけど……絵具塗るだけでめっちゃ地味だし、一応部活全体の説明とかもしようか?」
「うん、じゃあお願い」
恭くんを引き連れ、今先輩たちが何の練習をしているのかだったり、発表の場や担当分けについて説明していく。
入る気が微塵もない部活の説明を聞いて面白いだろうかと心配したけど、恭くんはわたしの説明を真剣に聞いている。
演技の幅を広げるためにも、たくさんのことを知っておいて損はないというスタンスなのだろう。素晴らしい。
「……で、わたしはここで今からパネル作成します。これで一通り説明できたかな。質問はある?」
「大丈夫、ありがとう」
「でさ。ちらっとしか見てないだろうけど、先輩たちの演技どうだった?」
恭くんの目を気にして無駄に緊張している先輩たちが可哀想なので、とりあえず感想を聞いておくことにした。後で褒め言葉だけピックアップして伝えてあげよう。