なぜか推しが追ってくる。




完全下校のチャイムが鳴る10分ほど前になって、ようやく作業がひと段落した。




「ふー……やっと終わった」




肩を回すと関節がポキポキ鳴る。


単純な作業に飽きたのか、途中で恭くんはどこかへ行ってしまっていた。

きょろきょろ見回してみると、部屋の隅で部長と何やら話し込んでいたのを見つける。




「恭くん」


「あ、終わった?」




わたしの声に振り返った恭くんは、何やら機嫌良さそうにニコニコしている。

そしてなぜか、その話相手になっていた部長は恭くん以上にご機嫌……というよりちょっと感動したように目を潤ませていた。




「……何話してたの?」




こんな幸せそうな顔の部長初めて見た。そのうち鼻歌とか歌いそうだな。


そう思って小声で恭くんに聞いてみれば、にこりと笑って首をかしげ、「秘密」と言われた。

何かわからないけどその仕草が可愛いので癒された。疲れとんだ。





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