【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜

シャルロッテは何の反応も示さない。
それがまた気持ち悪さを感じた。
『土魔法』を使えるイーヴィーとハリエットだけが、自分の娘なのだ。
侍女に体を起こされて、体を運ばれていくシャルロッテを見てスーザンが呟いた。


「やだわ……信じられない。さっさと綺麗にして頂戴」


美に執着しているスーザンは汚いものが大嫌いだった。
どうやら自分が姉妹の長女で、いつも妹が持て囃されていたことに不満を持っていたようだ。
確かにスーザンの妹は、隣国の王家に見染められる程に美しい容姿をしている。
その事が心底気に入らないと言っていた。

スーザンの口から出るのは妹の悪口ばかりだった。
「生まれてきた子供は不細工だ」「よくあんな男と結婚したわよね」「見る目がない」
しかし結婚式に来たスーザンの妹は笑顔が愛らしく、優しく聖母のように見えた。
夫は確かに地味な男だったが誠実そうで、二人はとても幸せそうに見えた。
だからこそイーヴィーとハリエットの『美しさ』に執着しているのだろう。
少し大袈裟なくらい、二人を褒め称え甘やかしていた。


「モタモタするな！全く、使えない侍女が居たもんだな」

「本当ね。あなたに世話を任せたことが間違いだったわ」

「…………申し訳、ありませんっ」

「さっさと手を動かせッ！グズがッ」

「か、かしこまりました……ッ」