【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
三章 照らす光
『シャルロッテ……起きろ』
そう言ったクロが月に向かって羽ばたいていく姿が見えた気がした。
お礼を言いたくて、クロに必死に手を伸ばすけれど手が届かない。
「────クロッ!!」
そう名前を呼んだ瞬間に、意識が覚醒する。
バッと体を起こして痛む足や関節を押さえていた。
(体力なさすぎ……あり得ないわ)
今日まで部屋に閉じ篭りっぱなしで体力がなく、あの部屋をから出てからは朝から晩まで働き通し。
初めの頃は何度も熱を出しても叩き起こされて働かされていた。
そんな事を繰り返しているうちに強制的に体が強くなっていった。
それに無理に使った力の影響も大きいだろう。
デイヴィッドが『子供の時には魔力がなくとも、成長する過程で魔力が開花する人もいる。そういう子達は決まって素晴らしい魔力と大きな力を持っているんだ』と言っていたことを思い出す。
(……体が成長したから魔法が使えるようになったのかな。それでも何か別の理由があったの?)
どうやら成長するまで、この力を無理に使うことはやめた方がよさそうだ。
それに、シャルロッテはまだまだ知らない事は多そうだ。
(今から色々な知識を集めながら慎重に動カナきちゃ)