【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
シャルロッテは体を縮こませながらリーナの話を聞いていた。
虚な目で一点を見つめているシャルロッテを見ていたリーナの表情は悲哀に満ちている。


「何か食べたいものはありますか？」

「……食べたい、もの？」

「シャルロッテ様はその……同じ年の位のご令嬢達よりも、ずっと小さくて……」

「…………」


そう言われて自分の手のひらを見た。
確かに妹のハリエットよりもずっとずっと、小さい体や細い腕。
長年の栄養不足が原因だろうが、それでもクロが運んでくる果実などのお陰で以前よりもずっと食べていた筈なのに……。


「……シャルロッテ様のお口に合いそうなものを持って参りますので、少々お待ち下さいませ」

「リーナさん、ありがとう……ございます」


ぎこちない笑みを浮かべた。
どこの本の主人公も文字の上では笑顔が素敵だった。

ディストン侯爵家に復讐する為に必要なのはシャルロッテが『愛される事』だ。
シャルロッテは今からクロが言う通りに、権力のある人達の『愛』を得なければならない。

(誰にも愛された事のない私に、そんな事が出来るのかな……)

不器用な笑いを見て、リーナは困ったように笑って「軽食を持って参ります。待っていてくださいね」と言って去って行った。
< 116 / 257 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop