【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
「とんだ失態だな、ハリエット……」

「…………っ」


初めてみる父の恐ろしい表情にハリエットは押し黙る。
その表情には見覚えがあった。
『シャルロッテ』を見る時と同じ視線と思った。

しかしイーヴィーとハリエットはすぐに家に帰りたかった為、ペラペラとシャルロッテの悪口を城の人達に話したのだ。

いつものように……。

それは自分達にとって、本当に当たり前の出来事で、こんな風に父が怒り狂うようなことではなかったからだ。
実際、何が悪いのか分かっていないようだった。


「わたくし達はお父様とお母様の為にッ、あの子を追い出そうと頑張ったのです……!」

「イーヴィー!やめて」

「ハリエットお姉様は黙っていて!だって、あんな出来損ないは要らないっていつも言っていたじゃない!!あの子は悪魔なんでしょう?」

「…………それを調査員の前で言ったのか」

「えぇ!わたくしきちんと……ッ」


鈍い音と共にイーヴィーの体が吹き飛んだ。
しかし母も助ける事なく頭を抱えている。


「役立たず共め……ッ」

「お、父様……?」

「うわあああん、痛いっ」

「…………」


イーヴィーに手を上げたことに呆然としていた。
そのまま父は背を向けて去って行った。
母も項垂れてイライラとした様子だった。

明日には元通りになる。
そう言い聞かせたけど、胸騒ぎが治らない。
しかし、次の日から『日常』は容赦なく崩れていった。
そんな事が起こるとは知らずに、ただ立ち尽くしていた。
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