【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
(ハリエットside)


次の日に『シャルロッテ』が、この屋敷に居ないのだと気付いた。
侍女に聞いてみても顔を曇らせるだけで何も答えない。
ただ、シャルロッテの世話をしていた侍女は屋敷を去ったようだ。

いつものように支度を終えて朝食へと向かっても父と母は姿を現さなかった。
たまにはそんな日もあるかと流していたが、その次の日もその次の日も同じだった。

そして度々、荒れている父の姿を目にしていた。
「どうして上手くいかないんだ」
「何故こんな事になってしまったのか!」
部屋には怒号と何かが壊れて割れた音が響き渡っていた。
母に聞いても「今は近づかない方がいいわ。屋敷の中で大人しくしていなさい」と言われて渋々従っていた。

そしてイーヴィーと何かがおかしいと話し合っていた時だった。
母がいつにも増して真剣な顔をして部屋に入ってきた。
その顔は暗く、いつもの母の姿とはかけ離れたものだった。


「……話があるの」

「お母様、一体なにがあったのですか!?最近、おかしいわ!」

「…………ハリエット」

「最近はお出かけも買い物も出来ないし、屋敷の中ばかりにいてつまんないわよ」

「イーヴィー……よく聞きなさい」
< 153 / 257 >

この作品をシェア

pagetop