【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
「でも、あの子はあそこにいるべきだって……!」

「本当はいけないってこと……?だって魔力がないから当然の扱いだってお父様もお母様も言っていたじゃないっ!」

「だって!だって、あの子がわたくし達の目を掻い潜って一番初めに検査を受けようとするんだもの……ッ」


イーヴィーがあの時のことを思い出しているのか、悔しそうに瞳に涙を浮かべている。


「……そのはずだったの!まさかあんなに魔力があったなんて、未だに信じられないわ!絶対に嘘よ」

「お母様……」

「貴方達は悪くないわ……!運悪く目を付けられてしまったけど、全てはあの悪魔のせいよ。可哀想に……私の可愛い娘達」

「お母様……ごめんなさいっ」


ハリエットは城で話を聞かれた時に、シャルロッテの扱いについて自慢げに話したことを思い出して青ざめていた。
シャルロッテはあの部屋にずっといて外に出してもらえなかった。
両親から邪険にされているシャルロッテを見て可哀想だと思いながらも、だんだんと当たり前になっていった。


「あの子がいなければ、こんな事には……」


母の口からギリギリと歯が擦れる音が聞こえた。
目は血走り、やはり今の状況に不満を持っているのだと思った。
自分達のせいでディストン侯爵家の置かれている状況がよくないのだと、それだけは理解できた。
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