【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
「わたくし達、これからどうなってしまうの!?お母様……っ」
「今は大人しくしているしかないわ。時が経つのを静かに待つのよ」
「で、でも……!」
「これ以上、わたくし達に迷惑を掛けるようならば……絶対に許さないわ」
「…………お母様」
「ハリエット、あなたは二属性も魔法を使えたのでしょう?よくやったわ。本当に素晴らしい娘だわ」
「ありがとう、ございます……」
「イーヴィーも、土属性を使えたのね。良かったわ」
「お母様っ……大好き」
「わたくしもあなた達が大好きよ……!あの子がここに帰ってきたら……次は容赦しないわ」
ビリビリと伝わる魔力に顔を引き攣らせた。
風に反応して物が浮かび上がっていた。
しかし母は怒りに血が滲むほどに唇を噛んでいる。
「お母様……ッ!」
「…………ああ、御免なさいね」
そう言って母が笑うと風が止んだ。
イーヴィーは安心したように胸を撫で下ろしていたが、この時の母の笑顔に恐怖を感じていたハリエットは小さく震えることしか出来なかった。
しかし何日経ってもシャルロッテはディストン侯爵家に帰ってくることはなかった。
母の言葉とは裏腹に、状況は悪くなるばかりだった。