【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
ディストン侯爵夫人の声にハリエットは大きく反応を示している。
恐らく、夫人からの期待が大きかったハリエットが何も成果を上げていないことが不満なのだろう。
ハリエットは夫人が何が言いたいのかわかったのか、静かに唇を噛みながら俯いている。

(宝石に目が眩んだのかしら……もっと二人を大切にしていると思ったけど、記憶と混同し過ぎているのかも)

しかし思った以上にシャルロッテの作戦がうまくいきそうで安堵していた。
シャルロッテはブルックスの手を握り体を密着させた。


「ありがとうございます。だからお兄様もそんな怖い顔をしないで?」

「……だが、またシャルを虐げるかもしれないだろう?」


ブルックスがこう言った瞬間、面白いほどに空気が固くなる。
しかしシャルロッテはあえてこう言うのだ。


「もう大丈夫よ。お父様とお母様もわたしのことをよく思ってくれているみたいだし、ハリエットお姉様とイーヴィーとも、いつか絶対に分かり合えるはずだわ」

「シャルがいいならそれでいい」

「…………っ!」

「…………ッ、なんで」


イーヴィーの不満そうな言葉が耳に届いたがあえて聞こえないふりをしていた。
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