【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
そう言うと、ハリエットとイーヴィーは大きく反応を返した。
シャルロッテがブルックスと婚約した以上、自分達にチャンスがないと分かっているはずだろうに……。

(きっとこの侯爵と夫人に洗脳されすぎて、おかしくなったのかしら。それとも私を出し抜くつもりが?)

ハリエットの反応は薄く挑発には乗ってはこず、半ば現実が見えて諦めているのかと思ったが、デイヴィッドの名前に反応したり、シャルロッテの行動に悔しさを感じるあたり、まだまだ腐りきってはいないようだ。


「シャル、そろそろ帰るぞ。父上と母上が待っている」

「まぁ、もうそんな時間なの?あっという間ですわね」


シャルロッテはわざとらしく驚いて見せた。


「素晴らしいわね……!」

「本当にシャルロッテは可愛らしいな」

「…………。ふふ、ありがとうございます」


ディストン侯爵と夫人は過度にシャルロッテを褒め称えている。
シャルロッテの乾いた笑みに気づくことはない。


「ああ……それとお父様とお母様と、お姉様達に見せたいものがあるの。中庭を借りてもいいかしら?」

「見せたいもの?」


先程の宝石が頭をよぎったのだろうか。
ディストン侯爵夫人の唇が大きく歪んだ。
しかしシャルロッテが『見せたいもの』は全く違うものだ。
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