【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
「是非、皆様に私の魔法を見て頂きたくて……だって、ねぇ?」
「ぁ……あぁ、是非見せてくれ」
「そっ、そうね。わたくしも見たいわ」
両親はその言葉を聞いて困惑している。
「…………」
「……ふん」
一方で姉妹は不機嫌そうだ。
しかしブルックスの鋭い視線に気付いたのか、さっと顔を逸らしてしまう。
これでブルックスがシャルロッテの幼少期の扱いをよく思っていないことは伝わっただろう。
シャルロッテは笑顔を浮かべて、ブルックスにエスコートを受けながら中庭の方へと歩いていく。
そしてふと上を見上げた。
ここの景色をシャルロッテはよく知っている。
あの部屋の小窓からハリエットとイーヴィーが楽しそうにしていたのを見ていた。
ここが……シャルロッテがあの時、見ていた小さな世界だった。
(……あそこが私がいた部屋ね)
窓があった場所を見ると、分かりやすいほどに木の板で乱暴に塞がれていた。
まるで思い出したくないとでもいいたいように……。
「私は、風と土と炎の魔法が使えますの」
「……噂には、聞いているよ」
「本当に三属性、使えるのね……」
ディストン侯爵夫人の言葉に笑みを浮かべながら頷いた。
「何からお見せしようかしら」
「シャル、加減しなければ屋敷が壊れるぞ?」
「あら、そうですわね……いっそのこと、この屋敷を壊して差し上げましょうか?」