【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜

シャルロッテの毒の含んだ言葉に皆の動きが止まった。
その中でもイーヴィーは怒りを露わにして荒く息を吐き出している。


「ウフフ、冗談ですわ」

「……！」

「そんなに怖い顔をなさらないで下さいませ」


そう言ってクスクス笑うと、分かりやすいほどにディストン侯爵や夫人の肩の力が抜けていく。

シャルロッテは辺りを見回してから「あの木でいいかしら」と言って、右手を上げた。
地面を揺らして根っこごと引き抜いた後、風魔法で土を落としてから、それを一瞬で大きな木を輪切りにしてから目の前に積み重ねた。
凄まじい音と地鳴りが辺りに響いた。

今はどうかはしらないが、六年前に地面の土を使って相手を拘束する程度の土魔法しか使えなかったイーヴィーと、それよりも少し威力の強い力を使っているディストン侯爵には到底、手の届かないものだろう。
圧倒的な実力の差がある土魔法は六年間、ずっと憎しみを糧にシャルロッテが磨き続けたものだ。
同じく何かを飛ばしたり細かい風で肌を傷つけるくらいの風魔法など何の役にも立たない。

見せつけるように風魔法で木を持ち上げて切り刻んだのだ。
ただ大きな魔法を使ってアピールしているだけではない。

(次は……あなた達の番よ)