【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜

「──ふざけんじゃないわよ!」

「…………」

「絶対に許さないんだからッ!この……っ」


しかし土はシャルロッテに届くことなくその場に落ちていく。
風魔法を使えば土など届かない。

イーヴィーはフーッと何度も荒く息を吐きながらフラリと立ち上がる。
そしてシャルロッテに殴りかかろうと手を振り上げて走り出した。
イーヴィーが作った土の塊がシャルロッテの周りに散らばった。


「イーヴィーッ!よせ……っ」


ディストン侯爵の声が響いた瞬間、イーヴィーは黒い影に拘束されて喉元に鋭く尖っているものが刺さる寸前だった。
イーヴィーは何が起こったのか分からずに唖然としている。

しかし首元にある凶器に気付いた瞬間、喉を引き攣らせた。
手先や足先が闇に徐々に飲み込まれていくのを見て、イーヴィーは掠れた声で呟いた。


「た、すけ……っ」


それと同時に、シャルロッテの周囲にあった土塊がボトボトと落ちていく。
< 213 / 257 >

この作品をシェア

pagetop