【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜

「俺の婚約者を傷つけるとは、どういうことだ？」

「も、申し訳ございませんッ！ブルックス殿下」

「イーヴィーッ！」


夫人が謝罪をする為に声を上げて、ディストン侯爵はイーヴィーを怒鳴りつけた。
辺りが闇に覆われていくがイーヴィーは納得出来ないのか泣きながら声を張る。


「……っ、だってぇ！あの女がッ」

「いい加減にしろッ！イーヴィーッ！この出来損ないがっ」

「あなた……！」

「ブルックス殿下、申し訳ありませんでしたッ」

「ひっ……！いやぁッ、助けてッ」


しかしブルックスは謝罪など聞き入れるつもりはないと示すようにイーヴィーを睨みつけている。


「俺の大切なシャルを、あの女などと……許されることではない」


シャルロッテはブルックスの胸に顔を寄せて表情を隠している。
微かに肩が震えているのは、あまりの愚かさに笑いが止まらないからだ。
自分の体が闇に飲み込まれていくことに気付いて、イーヴィーは暴れている。


「いやっ……！もういやぁ」

「イーヴィー、早く謝りなさいッ！謝るんだッ」

「でも、わたくしは……ッ」

「───イーヴィーッ！」

「ごめん、なさいッ」


小さな謝罪が耳に届いた。


「ブルックスお兄様、やめて下さいませ」


シャルロッテの声に反応したブルックスがそっとイーヴィーに向けていた手を下ろすと覆っていた闇が消える。