【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
「…………次はないぞ?」
ブルックスの地を這うような言葉と暗闇の中で光る赤い瞳に全員が息を止めていた。
シャルロッテがゆっくりとイーヴィーの前に足を進めて、笑みを崩さないまま見下ろしていた。
「ごめんなさいね……少し驚かせようとしただけなの」
「……ッ」
「ブルックスお兄様もやり過ぎですわ」
ギリギリと奥歯を噛み締めているイーヴィーの姿を見ながらシャルロッテは眉を寄せた。
そして問いかけるように、ディストン侯爵と夫人に問いかける。
「私の魔法をお父様とお母様に見せて褒めてもらおうとしたのですが……悪戯が過ぎましたでしょうか?」
そう言ってシャルロッテはディストン侯爵にチラリと視線を送った。
すると咳払いした侯爵は一瞬だけイーヴィーに視線を送った後に嬉しそうに笑いながら答えた。
「ディストン侯爵家から、こんなに素晴らしい魔法の使い手が現れるなんて嬉しいよ!ははっ」
シャルロッテを褒め称えるディストン侯爵にシャルロッテは「私の魔法が認められて嬉しいですわ」と手を合わせた。
あまりの悔しさにポロポロと涙を流すイーヴィーを横目にシャルロッテはブルックスの手を取った。
「ウフフ……ハリエットお姉様、イーヴィー。また遊びましょうね?」
「……!」
「くそっ……許さないっ、許さないんだからッ」
そんなイーヴィーの声を聞きながらシャルロッテはご機嫌で馬車に乗り込んだ。