【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
「下手のことをすれば、ブルックス殿下に殺されるぞ。あの闇魔法を見ただろう?」

「…………っ!」


今まで見てきた魔法とは根底から違う。
闇に飲み込まれそうになった恐怖が、今も肌に残っているようだ。
冷めた父の視線を感じながらイーヴィーは血が滲むほどに唇を噛み締めている。
しかし父と母は自分達とは違い、表情は明るく機嫌が良さそうだった。


「アイツを使ってディストン侯爵家は再び成り上がるんだ……!」

「お、父様……?」

「シャルロッテは希望の星だ。何も知らなかった子供が甘やかされて、力を持ち、持て囃されて天狗になっているに過ぎない!アレを上手く利用して、アピール出来れば全てが元通りになるッ!ハハッ!素晴らしい」

「…………ですが」

「ついにディストン侯爵家から王家に嫁ぐことができる!なぁに、あの子は愛に飢えている。少し愛してやればホイホイと言うことを聞くに違いない……!」


父は嬉しそうに額を押さえながら喉を鳴らしている。
しかしハリエットは大きな違和感を感じていた。

(あの目……何かがおかしいわ)

シャルロッテが城に行く前までは、ずっと邪魔者として扱われていた。
しかし今はどうだろうか……。
煌びやかなドレスを纏い、美しく、強い魔法を使い、王子に愛されて王家に必要とされている。

侯爵邸に居た時とは比べものにならないくらい、シャルロッテは輝いて見えた。
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