【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
(お父様はもうダメだわ……!)

仕事よりも名誉と成り上がることばかり気にしている。
『どれだけ土魔法が有益で高貴なのかを皆に分からせてやる……!』
現実を見ずに仕事を選り好みしているせいで、どんどんとディストン侯爵家が落ちぶれていることに気づいていない。
ここにいたら不幸になってしまう……そう思ったハリエットは、伯爵家の令息と仲を深めて嫁ごうとするものの、父は首を縦に振らなかった。


「わたくし、もう十八なのよ!?お願いだからお父様、目を覚ましてッ」

「イーヴィーは頭が悪い。だがハリエット、お前ならばもっと上の令息を捕まえられるはずだ」

「そんな……!」

「今回の結婚の話は白紙だ。いいな?」

「……っ」


過剰な期待をし過ぎているのか、はたまた欲に眩んで現実が見えなくなってしまっているのか……まるで聞く耳を持たない父に絶望していた。

母は文句ばかり言っていた。
行動を改めるどころか、悪化する生活に不満を漏らして他者にストレスをぶつけている。
口ではあなた達を守ると言いながら、現状を嘆いているばかりで何もしない。
それよりも根本的に解決した方がいいことがたくさんあることはわかっていた。
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