【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
両親は六年間の我慢を発散するように、散財し始めたのだ。
しかし大して仕事もしていないのに、これだけ使い込めるのはおかしいと疑問に思い問いかける。


「どうしてうちにこんなことが出来るの!?そのお金はどこから得たのよ」

「ああ……全てシャルロッテが用意してくれたんだ!」

「…………え?」

「頼んだら用意してくれたのよ……!あの子は本当素晴らしいわ」

「我々の為ならと、こうしてお金を工面してくれたんだ」

「そんな……」


その言葉には驚きと共に言葉が出なかった。
シャルロッテは幼い頃からひどい目にあっていた。
なのに、こんなことを自分からするだろうか。

(シャルロッテは本当にわたくし達を許したとでもいうの……?)

これが純粋な善意からくるものとは思えなかった。

ディストン侯爵家は表向きは以前のような輝きを取り戻しつつあった。
しかしシャルロッテが興味があるのは『両親』だけだった。
ハリエットとイーヴィーは殆どいないも同然だった。


「お父様、お母様……!参りましたわ」

「まぁ、シャルロッテ!いらっしゃい」

「シャルロッテ、よく来てくれた!さぁ、こちらにおいで」

「……っ」

「…………」


目の前で嬉しそうに歩いてくるシャルロッテは、今日も恐ろしいほどに美しい。
ハリエットとイーヴィーをチラリと見ては、歪んだ笑みを浮かべた。

(まるで……)

そう考えてハリエットは鳥肌が立った腕を擦った。
両親がシャルロッテの相手をしている間、追い出されるようにしてイーヴィーと共に部屋に戻る。


「自分が一番愛されているとでも思っているのよッ!あのクソ女ッ!!死ねっ、しねッ」

「やめさないよ……イーヴィー」
< 224 / 257 >

この作品をシェア

pagetop