【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
今日、ベルセルク伯爵の元に売られるのだ。
マウラの話やディストン侯爵達の態度をみれば分かることだが、きっと今からもっと酷い目に遭うのだろう。
「……シャ、シャルロッテお嬢様」
「…………」
「あの……支度を、致しましょう」
手首に繋がれたロープを引かれて、促されるまま鏡台の前に腰掛けた。
乱れた髪を整えて、化粧を施していく。
ふと……鏡の中の自分と目が合った。
なにも知らなかった幼く無垢な自分が『逃げて』と必死に鏡を叩いているような気がした。
そんな様子を空虚な気持ちのままずっと見つめていた。
『まだ間に合う』『諦めないで』『手を伸ばして』
大きな赤い瞳から何かが溢れた。
何故、必死に足掻くのか。
何の価値もない『私』を救おうとするのか。
何度、絶望して打ちのめされたのだろうか。
(…………私には、なにもない。なにも)
魔法も使えない。
地位も名誉も愛も最初から何も持っていなかった。
自由を失い、地べたに這いつくばるようにして生きてきた。
ディストン侯爵夫人の言葉が頭をよぎる。
『こんな子……生まれてこなければよかったのに』
心の奥深くの扉が開くように、傷を抉るように耳元で囁く声が聞こえた。
鏡の中の自分と目が合うと、真っ赤な唇が弧を描いていた。
そんな時、よくシャルロッテに嫌がらせをしていた侍女が恐る恐る背後から声を出す。
マウラの話やディストン侯爵達の態度をみれば分かることだが、きっと今からもっと酷い目に遭うのだろう。
「……シャ、シャルロッテお嬢様」
「…………」
「あの……支度を、致しましょう」
手首に繋がれたロープを引かれて、促されるまま鏡台の前に腰掛けた。
乱れた髪を整えて、化粧を施していく。
ふと……鏡の中の自分と目が合った。
なにも知らなかった幼く無垢な自分が『逃げて』と必死に鏡を叩いているような気がした。
そんな様子を空虚な気持ちのままずっと見つめていた。
『まだ間に合う』『諦めないで』『手を伸ばして』
大きな赤い瞳から何かが溢れた。
何故、必死に足掻くのか。
何の価値もない『私』を救おうとするのか。
何度、絶望して打ちのめされたのだろうか。
(…………私には、なにもない。なにも)
魔法も使えない。
地位も名誉も愛も最初から何も持っていなかった。
自由を失い、地べたに這いつくばるようにして生きてきた。
ディストン侯爵夫人の言葉が頭をよぎる。
『こんな子……生まれてこなければよかったのに』
心の奥深くの扉が開くように、傷を抉るように耳元で囁く声が聞こえた。
鏡の中の自分と目が合うと、真っ赤な唇が弧を描いていた。
そんな時、よくシャルロッテに嫌がらせをしていた侍女が恐る恐る背後から声を出す。