【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
次の瞬間、頭を鈍器で殴られるような感覚に後ろを振り向いた。
痛む場所に手を当てると、手のひらにはタラリと流れる血、それを見て侍女は「ヒッ……」と声を上げた。
白髪から流れる赤……割れた鏡の破片に映る自分と目が合って、何かがプチリときれた。


「いい加減にしろッ!シャルロッテ」

「ちょっと、またなの!?」


ディストン侯爵と夫人が怒りに顔を歪める。
その後ろからはイーヴィーとハリエットが続く。


「今更、なんなの?最後までお父様とお母様に迷惑を掛けるなんて最低よッ」

「これ以上、恥を晒さないでよ!お父様、お母様、さっさとこの女を追い出して!」


不機嫌そうな金切り声を聞いて心底、不愉快だと思った。


「早く手当をして準備をしろッ!迎えの馬車がもうすぐ来るんだぞ!?多少は荒っぽいことをしても構わないッ!さっさと血を拭え!ベルデルク伯爵が渡してきたドレスだけは汚すなよ!?」

「はぁ…………この女と引き換えにお金が手に入るんだから、なるべく傷付けないでよ?金額が減ったら大変じゃない」
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