【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
夜、窓を開けて歌を唄う。
何の曲かは分からないけど、優しい侍女がいつも妹に歌っていたという歌だった。
そうすれば、まるで導かれるようにして鳥は現れた。
それが嬉しくて毎日、歌を唄った。
そうすれば、少しだけ心が元気になるような気がした。


「あなただけだよ。私の側に居てくれるのは」

「…………」

「あ、あのね……今日、ワルツのやり方が書いてある本を見つけたの!だいぶ古いみたいだけど、知らないよりはいいわよね」

「…………」

「ふふっ、いつか私も結婚したりするのかな……でも、こんな私じゃあ、きっと無理だよね」

「…………」

「私にも、魔法が使えたらいいのにな……」


───そんなある日のこと


鎖が擦れる音が聞こえて体を起こす。
シャルロッテは光が漏れている扉を見て目を見開いた。

(やっと部屋から出してもらえる……!)

喜び溢れるシャルロッテとは違い、冷たい目で此方を睨みつける父と母に肩を揺らした。


「なるべく体型を隠すようなドレスにしろ」

「ついにこの日が来てしまったのね……今までは病気って事にしてきたけど、もう誤魔化せないわ」

「はぁ…………」

「こんな子……生まれてこなければよかったのに」

「…………ごめん、なさい」

「汚らわしい。話しかけないで頂戴」


ドレスの裾をグッと掴んで、小さな声でもう一度「ごめんなさい」と呟いた。
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