冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
ループが終わる~その先へ
~彼女はなぜ助かったのか?~
リーンハルトが面会に来た日、レティシアは王宮で聞き取り調査を受けた。その席にはバートンもいたので少しほっとする。聞き取りは厳しいものではないが、ループの話をさせられて疲れを覚えた。
どうやってレティシアが呪いから免れたのか、その一点に興味があるらしい。
事前に砕けたアミュレットと形見の指輪を提出した。壊れていても指輪は手放したくなかったが、リーンハルトの強い勧めがあって渡すことにしたのだ。
その後も数日に渡り王宮に留め置かれた後、再び聴取に呼び出された。
しかし、実際に行われたのは聴取というより確認で、その場を代表してバートンが事件の経緯を説明をしてくれた。
「まず、アミュレットは呪法が始まったときに砕けたと思われる。その後術式が展開され、結果的に呪いは発動された。それが原因でこの指輪が割れたと推測している」
「母の形見ではありますが、それはただの指輪です」
レティシアにとっては宝物だが、美しくもない指輪だ。
「いや違うよ。レティシア、これはミスリルで作られたアーティファクトだ」
驚いてレティシアは目を見開いた。
「それが?」
孤児院でも価値がないと思われて取り上げられなかったものだ。
「ああ、役目を終えて力を失ってしまったけれどね。指輪の能力の発動条件は呪いと君の死だったのか、どちらか一方に反応したのかは分からない。
君の実父はシュミット家の遠縁のミュラー侯爵家の出だ。あそこは代々素晴らしい魔道具を作る光魔法師を輩出していた。今は代替わりをしてしまったけれどね」
父が捨てた父の生家など、今まで興味もなかった。
「だが、君が助かったのはそれだけが理由ではないだろう。経験した者として呪いについて何か考えがあったら聞かせて欲しい」
「考えと言うほどのものはありませんが、ただ、思うのは前回の生でリーンハルトが私の代わりに殺されてしまったんです。
私はその後すぐに自死しましたが、その時死ななければ恐らくそのまま生き続けることが出来たと思います。つまり誰かが犠牲になることで助かるのかと。勝手な憶測ですが」
嫌な考え方だと思う。しかし、本能的にこれが正解だと分かっている。
「そう。君は正しい。それが呪いから抜け出る方法だ。サクリファイス。呪いはかける方も解く方も生贄がいるということだ」
呪いは解く方法があったのだ。サクリファイス、その言葉に怖気が走る。
「君はなぜ光属性を持つ者が少ないのか、わかるかい?」
話が想像もしない方向へ行き、レティシアは横に首を振る。
「いえ」
「呪いを受けた者の身代わりになれるのは、光属性を持つ者だけなのだ。彼らが心からその人の為に尽くそうと思えば、代わりに呪いを受けることが出来る。
この方法は、呪いを受けたある王族の代わりに亡くなった女性から広まったと言われている」
背筋がぞくりとした。リーンハルトも光属性を持っている。
「その昔、この国でも呪いが横行した時期があった。しかし、誰かの身代わりに死のうという者はそうそういない。
それこそ呪われた相手が自分の子供や恋人でも代わりに死ぬということは難しい。そこである術式が考案された。それは犠牲の精神がなくても光属性さえ持っていれば、生贄となれる悪魔的な術式」
「そんな……酷い」
レティシアは怯えた。
「大丈夫。今ではその術式は永遠に失われた。あまりにも非人間的だからね。それに呪殺にも重い刑が科せられるようになった。それはこの国だけでなく他国でもね。
リーンハルトが面会に来た日、レティシアは王宮で聞き取り調査を受けた。その席にはバートンもいたので少しほっとする。聞き取りは厳しいものではないが、ループの話をさせられて疲れを覚えた。
どうやってレティシアが呪いから免れたのか、その一点に興味があるらしい。
事前に砕けたアミュレットと形見の指輪を提出した。壊れていても指輪は手放したくなかったが、リーンハルトの強い勧めがあって渡すことにしたのだ。
その後も数日に渡り王宮に留め置かれた後、再び聴取に呼び出された。
しかし、実際に行われたのは聴取というより確認で、その場を代表してバートンが事件の経緯を説明をしてくれた。
「まず、アミュレットは呪法が始まったときに砕けたと思われる。その後術式が展開され、結果的に呪いは発動された。それが原因でこの指輪が割れたと推測している」
「母の形見ではありますが、それはただの指輪です」
レティシアにとっては宝物だが、美しくもない指輪だ。
「いや違うよ。レティシア、これはミスリルで作られたアーティファクトだ」
驚いてレティシアは目を見開いた。
「それが?」
孤児院でも価値がないと思われて取り上げられなかったものだ。
「ああ、役目を終えて力を失ってしまったけれどね。指輪の能力の発動条件は呪いと君の死だったのか、どちらか一方に反応したのかは分からない。
君の実父はシュミット家の遠縁のミュラー侯爵家の出だ。あそこは代々素晴らしい魔道具を作る光魔法師を輩出していた。今は代替わりをしてしまったけれどね」
父が捨てた父の生家など、今まで興味もなかった。
「だが、君が助かったのはそれだけが理由ではないだろう。経験した者として呪いについて何か考えがあったら聞かせて欲しい」
「考えと言うほどのものはありませんが、ただ、思うのは前回の生でリーンハルトが私の代わりに殺されてしまったんです。
私はその後すぐに自死しましたが、その時死ななければ恐らくそのまま生き続けることが出来たと思います。つまり誰かが犠牲になることで助かるのかと。勝手な憶測ですが」
嫌な考え方だと思う。しかし、本能的にこれが正解だと分かっている。
「そう。君は正しい。それが呪いから抜け出る方法だ。サクリファイス。呪いはかける方も解く方も生贄がいるということだ」
呪いは解く方法があったのだ。サクリファイス、その言葉に怖気が走る。
「君はなぜ光属性を持つ者が少ないのか、わかるかい?」
話が想像もしない方向へ行き、レティシアは横に首を振る。
「いえ」
「呪いを受けた者の身代わりになれるのは、光属性を持つ者だけなのだ。彼らが心からその人の為に尽くそうと思えば、代わりに呪いを受けることが出来る。
この方法は、呪いを受けたある王族の代わりに亡くなった女性から広まったと言われている」
背筋がぞくりとした。リーンハルトも光属性を持っている。
「その昔、この国でも呪いが横行した時期があった。しかし、誰かの身代わりに死のうという者はそうそういない。
それこそ呪われた相手が自分の子供や恋人でも代わりに死ぬということは難しい。そこである術式が考案された。それは犠牲の精神がなくても光属性さえ持っていれば、生贄となれる悪魔的な術式」
「そんな……酷い」
レティシアは怯えた。
「大丈夫。今ではその術式は永遠に失われた。あまりにも非人間的だからね。それに呪殺にも重い刑が科せられるようになった。それはこの国だけでなく他国でもね。