冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
レティシアが真っ赤になって抗議する。
「それより問題は宿屋だな」
「嘘、宿がなかったら、どうするの?」
別に宿がなくてもリーンハルトの責任ではないが、彼といるとだんだん自分で考えようという気がなくなって来る。それにレティシアは共通語は話せるが、この国の言葉が話せない。宿屋や店ではたいてい共通語が通じるが、田舎の住人は話せない場合が多い。
「民家で厩でも借りる?」
リーンハルトの問いに、レティシアがため息をつく。
「あなた本当に討伐隊に入って変わったわね。でも私、厩だったら野宿の方がいいわ」
「やだな、冗談だよ。ここは街のはずれだから、中心に行けば二、三軒あるから」
「もう!」
リーンハルトから揶揄われっぱなしだ。しかし、何だかんだと荷物を持ってもらっているので、あまりしつこく文句も言えない。二時間ほど歩くとのどかな田舎街にたどり着いた。
街の中央にある一軒のひなびた食堂兼宿屋に入るといつものやり取りが始まり、レティシアはうんざりしながら待った。
「は? 別々にお部屋をお取りするんですか?」
「ええ」
「お客さん、新婚でしょ? 喧嘩でもしたんですか」
田舎の宿屋は客のプライバシーに平気でどかどかと踏み込んでくる。この間は駆け落ちした恋人同士と間違われ家に帰るように諭された。
リーンハルトはそれをいつも姉弟ですと訂正しているが、五割の確率で「似てないじゃないですか?」と言われる。綺麗な顔をした義弟と似ていないと言われるのはレティシアとしては複雑だ。
今日もそのやり取りが続くのかと椅子に座ってぼうっと待っていると
「ええ、喧嘩して妻の顔も見たくないんです」
と義弟がとんでもないことを言いだした。
「は? 何言ってんの、リーンハルト」
慌てて彼の元に駆け寄り訂正しようとするが宿の主人とは話が済んだようで、
「ほら、レティシア行くよ」
と鍵を手にしたリーンハルトに声をかけられた。
「ちょっとリーンハルト、何いい加減なことを言っているのよ」
「いいだろ別に。夫婦と言った方が話が早いじゃないか」
「えーー!」
この旅で義弟は随分図々しくなった。そういえば最近以前のように顔を赤らめることもなくなった。結果レティシア一人が頬を染めている。
「それより問題は宿屋だな」
「嘘、宿がなかったら、どうするの?」
別に宿がなくてもリーンハルトの責任ではないが、彼といるとだんだん自分で考えようという気がなくなって来る。それにレティシアは共通語は話せるが、この国の言葉が話せない。宿屋や店ではたいてい共通語が通じるが、田舎の住人は話せない場合が多い。
「民家で厩でも借りる?」
リーンハルトの問いに、レティシアがため息をつく。
「あなた本当に討伐隊に入って変わったわね。でも私、厩だったら野宿の方がいいわ」
「やだな、冗談だよ。ここは街のはずれだから、中心に行けば二、三軒あるから」
「もう!」
リーンハルトから揶揄われっぱなしだ。しかし、何だかんだと荷物を持ってもらっているので、あまりしつこく文句も言えない。二時間ほど歩くとのどかな田舎街にたどり着いた。
街の中央にある一軒のひなびた食堂兼宿屋に入るといつものやり取りが始まり、レティシアはうんざりしながら待った。
「は? 別々にお部屋をお取りするんですか?」
「ええ」
「お客さん、新婚でしょ? 喧嘩でもしたんですか」
田舎の宿屋は客のプライバシーに平気でどかどかと踏み込んでくる。この間は駆け落ちした恋人同士と間違われ家に帰るように諭された。
リーンハルトはそれをいつも姉弟ですと訂正しているが、五割の確率で「似てないじゃないですか?」と言われる。綺麗な顔をした義弟と似ていないと言われるのはレティシアとしては複雑だ。
今日もそのやり取りが続くのかと椅子に座ってぼうっと待っていると
「ええ、喧嘩して妻の顔も見たくないんです」
と義弟がとんでもないことを言いだした。
「は? 何言ってんの、リーンハルト」
慌てて彼の元に駆け寄り訂正しようとするが宿の主人とは話が済んだようで、
「ほら、レティシア行くよ」
と鍵を手にしたリーンハルトに声をかけられた。
「ちょっとリーンハルト、何いい加減なことを言っているのよ」
「いいだろ別に。夫婦と言った方が話が早いじゃないか」
「えーー!」
この旅で義弟は随分図々しくなった。そういえば最近以前のように顔を赤らめることもなくなった。結果レティシア一人が頬を染めている。