冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
リーンハルトに荷物を運びこんでもらいレティシアは荷解きした。この後、絵姿をもとにミザリーをたどる予定だ。しかし、これほど寂れた街に大陸の共通語を話せる者が何人いるのだろうかとうんざりする。リーンハルトがこの国の言葉を話せるので助かっていた。
レティシアは旅装を解くと湯を貰い体をぬぐう。しばらく湯浴みをしていない。この国には湯殿につかる習慣はないようだ。それが少しつらい。
シンプルな白のブラウスと紺のスカートに着替えた。旅もひと月に渡ると肌荒れが気になる。髪も少しパサついて来た。とてもハードな旅で屋台でご飯を済ませたり、昼食を食べはぐれたりすることもあった。
彼一人ならばもっと早いペースで旅をしていただろう。今更ながら少し申し訳なく思う。
ほんの少し唇に紅を落とし鏡で自分の姿を確認し、その出来栄えにがっかりしてから階下の食堂に向かう。彼の目にどう映るだろう。ふと子供の頃を思い出す。
ミザリーに精神を抑圧される前、リーンハルトと仲良くしていたころ、彼に憧れに近い思いを抱いていた。レティシアは慌ててその考えを振り払う。
食堂ではいつものようにすでにリーンハルトがいて、茶をすすっている。貴族的な彼も軍隊式の生活を経験したせいか過酷を過酷とも思わなくなっている。身支度も貴族男性とは思えないくらい早く、驚くほど荷物も少ない。
しかし、不思議と今世での彼が一番生き生きしていた。本来、彼にはこういう生き方が合っているのかもしれない。しゃべり方も砕け、柔軟でとても逞しい男性になった。
レティシアが席に着くとリーンハルトがレティシアの分の茶を注文する。
「それで、さっそくだけど。宿の主人にミザリーの実家ドーソン家について聞いてみたんだ。近親者はいないが、屋敷は残っている。しかし、住んでいる者は縁もゆかりもない者だ」
相変わらずやることが早く抜かりない。
「その屋敷に行ってみる?」
「何も出てこないと思う。回るとしたら最後でいいよ。それよりも興味深い話を聞いたんだ」
「なに?」
「ミザリーは両親が亡くなってからうちに来るまでの間、修道院に預けられていたそうだ」
「そこで話を聞くの?」
「こんな田舎だ。人の出入りが激しいとは思えない。おぼえている者がいるはずだ」
「わかった。じゃあ、今すぐ行こう」
レティシアは旅装を解くと湯を貰い体をぬぐう。しばらく湯浴みをしていない。この国には湯殿につかる習慣はないようだ。それが少しつらい。
シンプルな白のブラウスと紺のスカートに着替えた。旅もひと月に渡ると肌荒れが気になる。髪も少しパサついて来た。とてもハードな旅で屋台でご飯を済ませたり、昼食を食べはぐれたりすることもあった。
彼一人ならばもっと早いペースで旅をしていただろう。今更ながら少し申し訳なく思う。
ほんの少し唇に紅を落とし鏡で自分の姿を確認し、その出来栄えにがっかりしてから階下の食堂に向かう。彼の目にどう映るだろう。ふと子供の頃を思い出す。
ミザリーに精神を抑圧される前、リーンハルトと仲良くしていたころ、彼に憧れに近い思いを抱いていた。レティシアは慌ててその考えを振り払う。
食堂ではいつものようにすでにリーンハルトがいて、茶をすすっている。貴族的な彼も軍隊式の生活を経験したせいか過酷を過酷とも思わなくなっている。身支度も貴族男性とは思えないくらい早く、驚くほど荷物も少ない。
しかし、不思議と今世での彼が一番生き生きしていた。本来、彼にはこういう生き方が合っているのかもしれない。しゃべり方も砕け、柔軟でとても逞しい男性になった。
レティシアが席に着くとリーンハルトがレティシアの分の茶を注文する。
「それで、さっそくだけど。宿の主人にミザリーの実家ドーソン家について聞いてみたんだ。近親者はいないが、屋敷は残っている。しかし、住んでいる者は縁もゆかりもない者だ」
相変わらずやることが早く抜かりない。
「その屋敷に行ってみる?」
「何も出てこないと思う。回るとしたら最後でいいよ。それよりも興味深い話を聞いたんだ」
「なに?」
「ミザリーは両親が亡くなってからうちに来るまでの間、修道院に預けられていたそうだ」
「そこで話を聞くの?」
「こんな田舎だ。人の出入りが激しいとは思えない。おぼえている者がいるはずだ」
「わかった。じゃあ、今すぐ行こう」