冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
いつもは他愛のない話をするのに、今夜はなぜか気まずい沈黙が落ちる。これから話そうとしている話の内容のせいだろうか。意識してしまう。リーンハルトも妙に口数が少ない。
水面の月が映る池の前に来た。今夜も満天の星が瞬いている。
レティシアは話を切りだした。
「あのね、リーンハルト。私、今日エレインと会ったのだけれど」
「ああ、噂が流れているんだってね」
何でもないことのようにさらりと言う。
「営舎じゃないのよ。ここは王都なの。言いたい奴には言わせとけって訳にはいかないわ」
困ったように言うレティシアに、リーンハルトはどこ吹く風で、
「それよりも一つ確かめたいことがあるんだけれど」
と言う。
「何?」
「レティシアが繰り返した中で、俺、誰かと婚約とかしてた?」
「うーん、最初も次も仲が悪かったから正確ではないかもしれないけれど、どの繰り返しの時もあなたが婚約していたっていうのはなかったわ。リーンハルト、もしかしてもてないの?」
見目もよく、常に成績首位だった彼がもてないとは考えにくい。
「失礼だな。そんなことはないよ。断っているだけだ。とはいってもここのところ縁談はこないな。俺は今売約済みになっているから」
義弟の幸せを願うべきなのにズキリと胸が痛む。
「売約済みって……。だったら、噂なんて困るじゃない。どこのご令嬢と? どうして今まで何も教えてくれなかったの?」
言っていて悲しくなる。彼は今までそんな素振りも見せなかった。もしかして、最近帰りが遅かったのは……。
「レティシア、泣きそうな顔をするな」
「そ、そんな事ない」
リーンハルトから顔を背ける。ちゃんと彼の結婚を祝えるだろうか? それに彼が結婚するならば、いつまでも家にいるわけにはいかない。
――リーンハルトの幸せを願わなくちゃ。
「どこのご令嬢も何も、レティシアだよ。王宮でも学園でもいつ結婚するのかと言われている」
「……私のせいで婚約者がいないってこと?」
レティシアは、驚いてリーンハルトを見上げる。
「そうは言っていないだろう」
義弟が苦笑する。
「だって、二か月間あなたとミザリーを探しに行ったことが、いつの間にか婚前旅行になっているのよ」
「気にするな。俺が否定しなかったから広がった噂だし」
リーンハルトがすました顔で言う。
水面の月が映る池の前に来た。今夜も満天の星が瞬いている。
レティシアは話を切りだした。
「あのね、リーンハルト。私、今日エレインと会ったのだけれど」
「ああ、噂が流れているんだってね」
何でもないことのようにさらりと言う。
「営舎じゃないのよ。ここは王都なの。言いたい奴には言わせとけって訳にはいかないわ」
困ったように言うレティシアに、リーンハルトはどこ吹く風で、
「それよりも一つ確かめたいことがあるんだけれど」
と言う。
「何?」
「レティシアが繰り返した中で、俺、誰かと婚約とかしてた?」
「うーん、最初も次も仲が悪かったから正確ではないかもしれないけれど、どの繰り返しの時もあなたが婚約していたっていうのはなかったわ。リーンハルト、もしかしてもてないの?」
見目もよく、常に成績首位だった彼がもてないとは考えにくい。
「失礼だな。そんなことはないよ。断っているだけだ。とはいってもここのところ縁談はこないな。俺は今売約済みになっているから」
義弟の幸せを願うべきなのにズキリと胸が痛む。
「売約済みって……。だったら、噂なんて困るじゃない。どこのご令嬢と? どうして今まで何も教えてくれなかったの?」
言っていて悲しくなる。彼は今までそんな素振りも見せなかった。もしかして、最近帰りが遅かったのは……。
「レティシア、泣きそうな顔をするな」
「そ、そんな事ない」
リーンハルトから顔を背ける。ちゃんと彼の結婚を祝えるだろうか? それに彼が結婚するならば、いつまでも家にいるわけにはいかない。
――リーンハルトの幸せを願わなくちゃ。
「どこのご令嬢も何も、レティシアだよ。王宮でも学園でもいつ結婚するのかと言われている」
「……私のせいで婚約者がいないってこと?」
レティシアは、驚いてリーンハルトを見上げる。
「そうは言っていないだろう」
義弟が苦笑する。
「だって、二か月間あなたとミザリーを探しに行ったことが、いつの間にか婚前旅行になっているのよ」
「気にするな。俺が否定しなかったから広がった噂だし」
リーンハルトがすました顔で言う。