冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
彼女に誘われるまま廊下を進み、エントランスに続く、大きな中央階段に差し掛かる。階段に踏み出そうとした瞬間、突然、背中に強い衝撃を受けた。レティシアの体が、宙を舞い、落下する。
ガン、と体を階段に打ち付けた。そのまま勢いをつけて体は階段から転がり落ちていく。痛い。ひどく頭を打ち、割れるように痛む。いつまでも落下が続く思われたところ、止まった。意識が朦朧としてくる。
その時体を強く揺すられた。頭がガンガンと痛む。やめて欲しいのに声が出ないどころか、指一本動かない。
「レティシア、大丈夫?」
ミザリーがレティシアの顔を覗き込む。その瞳には好奇の色が宿っていた。晴れ晴れとした顔で、にいと笑い口角をいやらしく上げる。
「分不相応な夢を見るんじゃないわよ。この薄汚い貧民が」
耳元で、そう言って耳障りな声をたて彼女は笑う。胸が痛く苦しい。ごぼりと、血を吐く。
レティシアの意識は遠のき、闇に飲み込まれた。