冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 そして、自分にあてがわれた部屋を見て驚いた。辛うじて一人部屋ではあるが、粗末なベッドが一つに、文机が一つ。それに作り付けのクローゼットがあり、ティーテーブルすらなく、狭い。

 しかも、一階西側の西日しか差さない物置のような部屋で風呂もない。この部屋を割り当てられた者は共同浴場に入るらしい。
「なんでーーっ!」

 
 まさかお義父様が寮費をけちったの? 一瞬、心に疑いが芽生えるが、慌てて打ち消した。オスカーはそのような狭量な人物ではない。自分の浅ましさに怖気が走る。こんなだから、殺されるほど憎まれるのだ。

 もう一度要綱を、目を皿のようにして読む。それによると、部屋は入学テストの成績順でここは一番悪い部屋。掃除や洗濯も自分でやり、食事だけはカフェテラスで食べられる。

 ちなみに最もいい部屋は掃除洗濯風呂付だそうだ。二間続きで、寝室と勉強部屋は分かれているという。別に下町の孤児院で育ったので、苦でもないが。

「何この格差。そう言えば、リーンハルトはどの部屋をあてがわれたのかしら」

 ぎりぎりと要綱を握り締め、独り言ちた。彼の待遇が気になるが、本当にちらと家で見かけたくらいで、彼とは最近、話もしていない。適性検査の時に面倒を見てくれただけ。学園の事をいろいろと聞きたかったのに、うるさがられて相手にしてもらえなかった。
 
 別にいいけれど……。元々、犬猿の仲だし。


 魔法学校で、レティシアは一番下のクラスから始めた。この学校は庶民も貴族と一緒に通っている。レティシアのここでの目的は、ミザリーから逃れるばかりではなく、友達も作るつもりだった。
前回も前々回もいなかった同性の友人をこの三巡目で作る。

 意気揚々とクラスに入った。

 ところが、そうは上手くいかなくて、レティシアが入った「F」クラスは庶民がばかり。そんな中で伯爵令嬢レティシアは目立った。その特徴的な髪色と、瞳の色ともに。そのうえ、庶民は一般的に髪も瞳の色も濃く。白銀の髪を持つレティシアはさらに浮いた雰囲気となった。

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